『HANA-BI』

      2017/05/27

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満足度

 

97/100

北野武の最高傑作だと思う。映画監督として、主演俳優として、脂が乗り切っている。

 

今作の見所

 

まず鮮やかな色彩に息を呑む。

キタノブルーといわれるだけに青が美しいのは言うまでもない。

今作では絵画制作が一つの重要な要素なのもあり、それに留まらない北野武の豊かな色彩感覚の全てが集約され、シーンの一つ一つが文字通り絵として完成している。

 

バイオレンスの観せ方も秀逸。

予兆も余韻も感じさせない瞬殺のキレ

それが暴力と気が付く前に男達が血を流して倒れている。

 

この速度は、鮮度を落とさないための急所への一撃と言える。

静謐で繊細な映画の空気を全く汚すことなく、魅入らせる緊迫感のみを生み出している。

 

ストーリーにも感動

 

テーマ設定にしても非の打ち所がない。

極端に説明描写を拒む、孤高を呈した北野作品の多くは些か難解にとられ万人ウケするものとは言い難い。

 

しかし今作の場合は、夫婦愛という普遍性の高いキャッチーな要素が媒介となることで、芸術性の水準を下げることなく魅力を端的に伝えている。

その土壌から息吹く物語も、北野作品が表現してきたものを余すことなく引き継いでいる。
行き場も居場所もない男が人生の幕引きに相応しい美しい死を求める。

 

ところどころで戯けて飄々としていながら、徹底的にペシミスティックな人生観に、美意識が支えられている。

 

綺麗で泣ける映画です

 

人生の重みから逃げられなくなった夫婦が静かに寄り添う。

「ありがとう、ごめんね」

というあまりに多くを含意した深いセリフに、思わず感極まってしまった。

 

今作は、北野武の作家性の全ての要素が、これ以上にない完成度で、これ以外にないようなバランスで絡み合っている。

 

そしてそれを、ビジュアルイメージとして完璧に演じられるのも、
俳優 北野武のみである。

自己完結に驚くばかりだ。

 

北野武という実存に根ざした強度のある表現であることの証左だろう。

 

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